問題多し☆新国立競技場 |
歴史ある神宮外苑の杜。
写真は、絵画館前の銀杏並木。
秋には、黄金色に輝く。
この景観が壊れるという危機にさらされている。
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手前右に見えるのが、絵画館。
ここは、風致地区であり、建物の高さ制限は、15mだった。
2020年の東京オリンピックに向け、
新しい国立競技場のコンペティションが行われるまでは。。。
東京都は、高さ制限を5倍の75mに緩和した。
景観を破壊するプロジェクト案の実施を懸念して、
多くの有識者が声をあげている。
作家で 、「谷根千」の編集などで知られる森まゆみさんが
共同で代表をつとめていらっしゃる
神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会
が主催しているシンポジウムに2度ほど参加した。
昨晩は、建築家であり、この新国立競技場案に異義を唱え、
『新国立競技場、何が問題か』
を平凡社から出版された槇文彦さんの出版記念シンポジウムだった。
槇文彦氏は、代官山のヒルサイドテラスや青山のスパイラルビル、
東京体育館などを設計し、1993年には、プリッカー賞を受賞されている。
昨晩の内にフェイスブックに概要を投稿したところ、
夜中から本日のお昼までに多くのコメントをいただき、
20名以上の方が投稿をシェアしてくださった。
それをこちらにも記します。
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2014.4.23 Facebookの投稿より。
【実は大問題!!☆簡単にまとめました。】シェア歓迎です☆
新国立競技場についての諸問題を話題にすると、
意識高い都民でも、
問題になっていることさえ把握していないことが多々あり、驚く。
(多くの情報がもみ消されているので、無理もないが。)
本日、シンポジウムに参加した。
多くの専門家の意見は非常に興味深いけれど、
一般には分かりにくいのかもしれないと思い、
かなり簡略化して、まとめてみた。
☆巨大すぎる!!
建物の高さ制限15mだった風致地区。→ 5倍の75mに引き上げられた。
歴史ある神宮外苑の景観が壊れる。
☆多大な費用!
3000億円から1700億円に軽減しても、北京五輪スタジアムの4倍以上。
☆存在する限り、赤字が続く!
もちろん税金で賄われる。
:維持費;41億円/年(今は、5億円)
☆建築構造的に問題あり!
2月に降った東京の大雪では屋根が落ちる!などなど。。
☆施設として使いにくい設計!
スポーツ競技場としてもイベント会場としても、問題有り。
☆立ち退き問題
高齢者が多く住む都営霞ヶ丘アパート。
長く慣れ親しんだ環境を離れる不安と負担。
確かに。。。私は自宅も事務所も近隣。神宮外苑は若いときから馴染みがある。
建築の仕事に携わっているので、
ザハ・ハディッド(イラク人建築家。脱構築主義)が
コンペに入賞したと聞いたときから、
「いったい、どうなってしまうのか??」と、意識した。
歴史的かつ緑豊かな景観が壊れることをとても残念に感じている。
しかしながら、多くの都民、国民にとっては、まだ遠い問題のようである。
多くの有識者が問題にして訴えているが、
巨大なお金が動くプロジェクトであるゆえ、
御多分に洩れず、もみ消されている。
今日も錚々たるパネリスト、参加者の方々が発言されていたが、
やはり、伝わっていないとのこと。
以下、シンポジウムの一部です。
森まゆみ氏(作家、神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会共同代表)
建築の観点からだけではなく、市民生活の立場から、神宮外苑の大切さを訴えたい。
パラリンピックを含め、約一ヶ月のオリンピックのために、東京の市民生活が破壊されては困る。
そもそも、東北の復興が一番大事だと思う今、巨大なものに巨大なお金を使って良いものかと思い、
要望書や質問を東京都やJSC、文科省に出したが、まともな答えが返ってこない。
政府が改修案も検討し始めているというプランを最近入手した。
陣内秀信氏(建築史家)
ここをただの空き地だとしか思っていない。本来、海外から来る方にも感銘を与えるような価値ある場所を空き地として捉え、空間を埋めていくという発想が根本からおかしい。
後藤健生氏(サッカージャーナリスト)
20世紀の遺物のようなコンセプト。
スポーツ界にとっても使いにくい、使えない施設。
スポーツ界で、このことに声をあげないのは犯罪。
森山高至氏(建築エコノミスト)
一般の人に分かりやすく伝えたいと思い、ブログなどで活動している。
(非常に詳しく問題提議され、代替案も伝えていらっしゃいる。
後述のリンク先を是非ご覧下さい。)
芦原太郎氏(建築家、日本建築家協会 会長)
情報公開がないまま、国民の合意を得ないまま、進められていることが問題。
規模、景観、コスト&維持費など諸問題を様々な機関(スポーツ振興センター、東京都、文科省など)に要望書提出しているが、返答がない。
玉木正之氏(スポーツライター)
お金の問題として深刻。
文化、景観では伝わらない。
破綻しかかっている日本経済に拍車をかける危険として伝えるべき。
中沢新一氏(思想家、宗教学者)
マスコミで発表しようとしても、殆どのマスコミは、逃げる。
良心的マスコミで発表しても国民的議論にならないことに歯がゆさを感じている。
2020年以降、日本経済を破綻に追いやる。
文化、景観の問題として扱っても伝わらないので、今は、お金の問題としてと扱うのが分かりやすいと思っている。
お金の問題として、本当に危険な要素を孕んでいる。
エドワード鈴木氏(建築家)
ザハ・ハディッドのプロジェクトをストップさせることは明らか。
そのために、何ができるのか?
様々な人が色々な方法で問題提議しても、殆ど無視されている&メディアも扱ってくれないと分かり。。。
外圧に弱い日本であるゆえ、ツイッターやフェイスブックなどを利用して、世界中の建築学会、建築家、一般市民に呼びかけるというアイディアを思いついた。それにより、アジェンダが変わるかもしれない。
さらに詳しく知りたい方は。。。
このシンポジウムの動画
『新国立競技場、何が問題か』
(ジャーナリスト岩上安身氏が設立したインターネット報道メディア)
シンポジウムの様子が記載されている詳しい記事
『新国立競技場「歴史的空間を破壊する」「ありえない」
取り壊し目前、建築家らが怒り』
『緊急寄稿:今、新国立競技場に何が求められているか
世界的建築家、槇文彦氏の警鐘』
『新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える』(p.10)
『神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会』
『建築エコノミスト 森山のブログ』
『新国立競技場は本当に出来るのか?建設の責任者は誰?』
『新国立競技場のもう 1 つの可能性
伊東豊雄の国立競技場改修案発表をうけて』
『国立競技場の100年』後藤健生氏著
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今日、神宮外苑を自転車でひと回りした。
やはり緑豊かで、簡単に壊してよい景観ではない。
折角の機会なのだから、懐古主義にはならず、
今、上手くいっていない都市計画も整備しなおし、
老朽化した建物、設備、道路なども手入れしなおし、
思いもお金というエネルギーも好循環を生み出す
プロジェクトになったら素晴らしいと思う。